AI添削相談 2026-05-19 2分で読める

AIの法律相談に弁護士が赤入れすると、どこを見るのか

ChatGPTなどで作った法律相談メモを弁護士が確認するとき、どの部分に注意するのか。事実、証拠、法的構成、相手方の反論、手続選択の観点から整理します。

AI添削相談

ChatGPTなどに事情を入力すると、かなり整った文章が返ってきます。「請求できる可能性があります」「証拠を集めましょう」「専門家に相談しましょう」というところまでは、だいたい自然に出てきます。問題は、その文章が事件を進めるための足場になっているかどうかです。

弁護士が見るのは、文章が上手いかどうかではありません。いつ、誰が、何をしたのか。契約書やメールや写真で確認できるのか。相手方は何を争ってきそうか。交渉で済むのか、通知書を出すのか、調停や訴訟に進むのか。AIの回答がきれいに見えても、このあたりが抜けていると、実際の事件では使いにくいものになります。

たとえば、AIが「相手方に損害賠償請求ができる可能性があります」と書いたとします。そこで止めるのではなく、何の義務違反なのか、損害はいくらなのか、その金額を示す資料があるのか、時効や契約条項に引っかからないかを見ます。相手方が「そんな約束はしていない」「その損害は別の原因だ」と言ってきたときに、どの資料で返せるかも確認します。

AIの要約と原資料がずれていることもあります。相談者の入力が少し曖昧だと、AIは足りない部分を自然な文章で埋めてしまいます。法律相談では、その埋められた部分が危ない。メールには書いていないこと、契約書にはない合意、スクリーンショットからは読み取れない事情が、いつの間にか前提になっていることがあります。

逆に、AIで相談を整理してくること自体は悪くありません。相談者が何を不安に思っているか、どこまで調べたかが分かるので、初回相談の入口としては使えます。ただし、相談時にはAIの回答だけでなく、元になった資料も見ます。AIの文章を直すというより、その文章の下にある事実と証拠を掘り返す作業になります。

AIの回答を直すときは、「この表現の方が自然です」という文章の添削では足りません。法律相談として必要なのは、事実、証拠、請求内容、手続の順に並べ直すことです。きれいな文章にする前に、使える資料と足りない資料を分ける必要があります。

AIの回答を持ってくる場合は、そのままで構いません。きれいに直してから持ってくる必要はありません。むしろ、AIとのやり取りと、元になった資料の両方がある方が、どこで誤解が生じたのかを確認しやすくなります。

弁護士 佐藤 佑亮
佐藤 佑亮
晝間法律事務所 / 東京弁護士会

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