「解除できますか」と聞く前に
相手が約束を守らない。できれば契約を終わらせたい。そこでAIに「相手が契約違反をしています。解除できますか」と聞けば、解除の要件や通知書の案まで出てくることがあります。入口としては便利です。ただ、その質問には、相手が契約違反をしているという評価が既に入っています。
実際には、納期が確定していたか、こちらが必要な資料を渡していたか、仕様変更がなかったか、修正の機会を与えたかを先に確認します。法律名を当てる前に、事実をほどく。その順番をAIにも守らせた方が、相談メモとして使いやすくなります。
質問を四つに分ける
そのまま使える質問例
一度に長い答えを求めるより、役割を分けて聞いた方が確認しやすくなります。次の文に、自分の事情を続けて入力してください。
ハルシネーションは、架空の判例だけではない
存在しない判例や条文は、検索すれば気づけることがあります。見つけにくいのは、一般論は正しいのに、個別の結論へ進む途中が抜けている回答です。「通常損耗は借主負担ではない」ことから、「今回の原状回復費用は払わなくてよい」へ進むには、契約書、特約、入居時と退去時の写真、請求明細を見なければなりません。
AIに出典を求めることは大切です。ただ、出典が実在するだけで、自分の件に当てはまるとは限りません。条文の文言、判例の事実関係、資料で確認できる自分の事情。この三つがつながっているかを見ます。
相手に送る文章は、もう一段慎重に
相談メモは後から直せます。相手方へのメール、内容証明、解除通知は、送れば証拠として残ります。AIが丁寧に整えた返信でも、不利な事実を認めていたり、必要のない請求まで書いていたりすることがあります。
送る前には、何を認めるか、何を争うか、今は答えないことは何かを分けます。強い文章を書くことより、その一通が次のやり取りで自分に返ってこないかを見ておく方が実益があります。
AIで整理した後は、元資料へ戻る
AIとのやり取りは消さず、契約書、メール、LINE、写真、請求書などと一緒に残してください。相談では、AIの文章を採点するのではなく、文章の下にある事実と資料を確認します。AIの使い方そのものについても、次に何を聞けばよいか、どの出典を確認すべきかまで整理できます。
氏名、住所、契約書などをどこまで入力してよいか迷う場合は、AIへの法律相談と個人情報の扱いも確認してください。実名を伏せても、日付、金額、契約条項を残せば相談の骨格は保てます。出典の探し方はGoogle検索とAI法律相談の使い分け、すでに回答を得ている場合の確認方法はChatGPTで法律相談した内容の確認にまとめています。
よくある質問
回答と確認は、ご提供いただいた資料と、ご説明いただいた事実を前提に行います。前提となる事実や資料が実際と異なっていた場合、結論もそれに応じて変わります。AIの回答そのものの正確性を保証するものではなく、その回答を資料と照らしてどう扱うかを判断するのが弁護士の役割です。