AI Legal Research Guide

AIに法律相談するとき、
何をどう聞くか。

AIは、問題を言葉にして整理する道具としてよくできています。ところが、「契約を解除できますか」「これは名誉毀損ですか」と結論から聞くと、質問に含まれた前提を受け入れたまま、望んでいる方向へ話が進むことがあります。聞き方を少し変えるだけで、相談前に集めるべき資料と、本当に確認したい点が見えやすくなります。

「解除できますか」と聞く前に

相手が約束を守らない。できれば契約を終わらせたい。そこでAIに「相手が契約違反をしています。解除できますか」と聞けば、解除の要件や通知書の案まで出てくることがあります。入口としては便利です。ただ、その質問には、相手が契約違反をしているという評価が既に入っています。

実際には、納期が確定していたか、こちらが必要な資料を渡していたか、仕様変更がなかったか、修正の機会を与えたかを先に確認します。法律名を当てる前に、事実をほどく。その順番をAIにも守らせた方が、相談メモとして使いやすくなります。

質問を四つに分ける

01
起きたことだけを書く
評価や法律用語を入れる前に、誰が、いつ、何をしたかを時系列で書きます。不明な日付は、不明のままにします。
02
手元の資料を列挙する
契約書、メール、LINE、写真、請求書、振込記録など、確認できる資料と、まだ資料がない話を分けます。
03
反対側からも聞く
自分に有利な根拠だけでなく、相手方がしそうな反論と、自分に不利になりうる事情も出すように頼みます。
04
行動の前提を確認する
解除通知や請求書面を作らせる前に、期限、追加で必要な資料、別の選択肢、行動した場合のリスクを聞きます。

そのまま使える質問例

一度に長い答えを求めるより、役割を分けて聞いた方が確認しやすくなります。次の文に、自分の事情を続けて入力してください。

最初の整理
以下の出来事を、推測を加えず時系列にしてください。日付や事実が不明な部分は補わず、「不明」と書いてください。
抜けている資料
この問題を判断するために必要な資料を挙げてください。私が書いた事実のうち、資料で裏付けられているものと、まだ確認できないものを分けてください。
相手方から見た場合
相手方の立場なら、どの事実を争い、どの資料を出し、どのような反論をする可能性がありますか。私に不利な点も省略しないでください。
出典の確認
回答の根拠となる現行法の条文と公的機関の資料を示してください。確認できない判例名や事件番号は作らず、確認できないと明記してください。

ハルシネーションは、架空の判例だけではない

存在しない判例や条文は、検索すれば気づけることがあります。見つけにくいのは、一般論は正しいのに、個別の結論へ進む途中が抜けている回答です。「通常損耗は借主負担ではない」ことから、「今回の原状回復費用は払わなくてよい」へ進むには、契約書、特約、入居時と退去時の写真、請求明細を見なければなりません。

AIに出典を求めることは大切です。ただ、出典が実在するだけで、自分の件に当てはまるとは限りません。条文の文言、判例の事実関係、資料で確認できる自分の事情。この三つがつながっているかを見ます。

相手に送る文章は、もう一段慎重に

相談メモは後から直せます。相手方へのメール、内容証明、解除通知は、送れば証拠として残ります。AIが丁寧に整えた返信でも、不利な事実を認めていたり、必要のない請求まで書いていたりすることがあります。

送る前には、何を認めるか、何を争うか、今は答えないことは何かを分けます。強い文章にすることより、次のやり取りを見越して書くことの方が重要です。

AIで整理した後は、元資料へ戻る

AIとのやり取りは消さず、契約書、メール、LINE、写真、請求書などと一緒に残してください。相談では、AIの文章を採点するのではなく、文章の下にある事実と資料を確認します。AIの使い方そのものについても、次に何を聞けばよいか、どの出典を確認すべきかまで整理できます。

氏名、住所、契約書などをどこまで入力してよいか迷う場合は、AIへの法律相談と個人情報の扱いも確認してください。実名を伏せても、日付、金額、契約条項を残せば相談の骨格は保てます。

よくある質問

AIには個人情報をどこまで書いてよいですか。
氏名、住所、電話番号、口座、事件番号など、相談の整理に不要な識別情報は伏せてください。利用するAIサービスのデータ利用条件も確認が必要です。弁護士への相談時には、元資料で当事者を確認します。
AIが示した条文や判例は、どう確認すればよいですか。
条文はe-Gov法令検索、裁判例は裁判所ウェブサイトなど、一次情報へ戻って確認します。事件名や番号がもっともらしくても、検索して原文を確認できなければ、そのまま根拠にはしません。
AIに内容証明や解除通知まで作らせてもよいですか。
下書きを作ることはできますが、送信前の確認が必要です。事実を認める表現、期限、請求額、解除の要件、送った後の対応まで検討しないと、文章だけ整っていても問題が残ります。
AIとのやり取りを弁護士に見せてもよいですか。
そのまま見せて構いません。質問と回答の流れが残っている方が、どこで前提が足されたか、どこから結論が飛んだかを確認しやすくなります。元資料も一緒に用意してください。

AIで整理した内容も、相談資料として確認します

質問と回答の履歴、元になった資料、相手方へ送ろうとしている文面があれば、そのままお送りください。WEB相談にも対応しています。