AIで作った法律相談メモを弁護士に持っていくときの準備
AIで作った相談メモを弁護士相談に持参する際に、何を残し、どの資料を一緒に用意すべきか。時系列、相手方、証拠、希望する解決、AI回答の扱いを整理します。
ChatGPTなどの生成AIに法律相談をするとき、氏名、住所、契約書、相手方とのやり取りをどこまで入力してよいか。回答の精度を落とさずに情報を伏せる方法を弁護士が解説。
詳しく書くほど、AIの回答は具体的になります。ところが、法律相談で詳しく書こうとすると、氏名、住所、勤務先、口座番号、相手方とのメッセージなど、本来は広く渡したくない情報まで入りやすくなります。
答えの精度を上げたい。しかし、個人情報は入れたくない。両方を守る方法はあります。
たとえば、賃貸借契約の解除について聞くとき、貸主や借主の実名は通常なくても構いません。「貸主A」「借主B」と置き換えても、契約日、滞納の有無、催告をした日、解除条項の文言が残っていれば、相談の骨格は保てます。
住所も同じです。東京都内の物件なのか、別の地域なのかが法的な結論に影響しない場面で、番地や部屋番号まで書く必要はありません。電話番号、メールアドレス、口座番号、署名、本人確認書類の画像は、質問に必要な理由がない限り外します。
では、全部をぼかせば安全かというと、そうでもありません。
「少し前に契約した」「かなり高い金額だった」「何度か連絡した」と書き換えると、期限や契約の重要性を判断できなくなります。氏名は伏せても、日付、金額、連絡方法、相手が何と答えたかは残した方がよいことがあります。隠すべきものと、判断に必要な事実は同じではありません。
契約書を確認させたい場合も、最初から全ページをアップロードする必要はありません。相談したい条項、その条項が参照している別の条項、契約日、当事者が事業者か個人かなど、結論に関係する部分から始められます。
画像やPDFを使うなら、氏名、住所、連絡先、口座番号、印影、署名、管理番号などを隠します。ただし、黒い四角を画像の上に載せただけでは、元の文字がデータとして残ることがあります。加工後のファイルを別名で画像化し、開き直して文字を選択できないことまで確認した方が安全です。
相手方とのメールやチャットも、表示名と連絡先を伏せれば内容を検討できます。むしろ大切なのは、都合のよい一文だけを抜かないことです。前後の発言が消えると、AIは強い言葉だけを拾い、実際より有利な回答を作ることがあります。
入力内容がどのように保存され、サービス改善や学習に使われるかは、サービス、契約プラン、設定によって異なります。「AIだから外には出ない」と一括りにはできません。
個人情報保護委員会も、生成AIの利用者に対し、提供事業者の利用規約やプライバシーポリシーを確認し、入力する情報の内容を踏まえて利用を判断するよう注意を促しています。事業者が顧客や従業員の個人データを入力する場合は、本人との関係だけでなく、社内規程や委託先管理も問題になります。個人で自分の相談をする場合と、会社が保有する他人の情報を業務で入力する場合は、同じ扱いにはできません。
次の程度から始めれば、個人を特定する情報をかなり減らせます。
私は個人の借主です。2026年4月1日に賃貸借契約を結びました。契約書には「賃料を2か月以上滞納した場合、貸主は催告なく解除できる」とあります。6月分と7月分を滞納し、7月20日に貸主から退去を求めるメッセージが届きました。氏名や住所を使わず、考えられる争点、確認すべき資料、私に不利な事情を分けて説明してください。存在する条文や裁判例を挙げる場合は、出典を示してください。
この聞き方でも、最終的な答えは出ません。滞納の理由、支払いの申出、貸主との過去のやり取り、契約書全体などで判断は変わります。ただ、何を追加で確認すべきかは見えてきます。AIを使う意味は、そこにあります。
AIに渡した相談メモや回答は、そのまま弁護士に見せて構いません。AIに法律相談するときの質問方法では、事実と法的な結論を混ぜずに聞く方法を説明しています。AI添削相談では、AIの回答と元の資料を見比べ、どこまで相談の土台にできるかを確認します。
AIで作った相談メモ、内容証明案、相手方への返信案があれば、そのまま相談資料として確認します。