AIが「契約解除できます」と言った業務委託トラブルを、弁護士ならどう見るか
業務委託契約で納品遅れや品質不満がある場面を題材に、AIの回答例と弁護士の赤入れを示します。解除、損害賠償、催告、証拠、現実的な交渉の順に整理します。
AIで契約書レビューをする際の注意点。条項の説明だけではなく、取引目的、リスク配分、解除、損害賠償、証拠化、交渉可能性を確認する必要があります。
契約書をAIに貼り付けると、条項の意味をかなり分かりやすく説明してくれます。秘密保持、解除、損害賠償、管轄、反社会的勢力排除条項など、見慣れない言葉の説明には役立ちます。
ただ、契約書レビューで本当に大事なのは、条項の一般的な意味だけではありません。その契約で何を実現したいのか、どこで損をしそうか、相手方とどこまで交渉できるのかを見る必要があります。
AIは「この条項は解除に関する条項です」「損害賠償の範囲を定めています」と説明できます。しかし、その条項が相談者にとって重いのか、軽いのか、許容してよいのかは、取引内容を見ないと判断できません。
たとえば、損害賠償の上限が契約金額までに制限されている条項があります。受託者側なら有利なことが多いですが、委託者側なら十分かどうかを考える必要があります。立場によって同じ条項の評価は変わります。
契約書を見るときは、まず取引の目的を確認します。お金を回収したいのか、納期を守らせたいのか、成果物の権利を確保したいのか、秘密情報を守りたいのか、途中解約の余地を残したいのか。
AIに契約書だけを見せても、この取引目的は十分に伝わりません。契約書の外にある事情、相手方との力関係、過去のやり取り、今後の事業上の重要性が必要です。
AIは、不利な条項をたくさん指摘してくれます。それ自体は便利です。ただ、実際の契約交渉では、全部を直せるとは限りません。相手方が大きい会社の場合、ひな形から大きく変えられないこともあります。
その場合は、どこだけは直すべきか、どこはリスクを理解したうえで受けるかを決めます。法律相談では、この優先順位づけが大事です。
契約書をAIに見せるなら、単に「レビューしてください」と聞くより、次のように聞いた方が使えます。
私は受託者側です。この契約で一番避けたいのは、無制限の損害賠償、成果物の権利が残らないこと、途中解約で未払報酬が残ることです。条項ごとに、私に不利な点、交渉すべき点、許容できる可能性がある点を分けて整理してください。
自分の立場と目的を書くことで、AIの回答はかなり実務に近づきます。
契約書レビューでは、問題点を見つけるだけでなく、相手方にどう修正依頼を出すかが重要です。強く言うべきところ、柔らかく聞くべきところ、代替案を出すべきところがあります。
AIで作った契約書レビューや修正依頼文があれば、AI添削相談で確認できます。条項の意味だけでなく、実際に相手方へ出せる文言になっているかを見ます。
AIで作った相談メモ、内容証明案、相手方への返信案があれば、そのまま相談資料として確認します。