AI添削相談 2026-07-27 4分で読める

AIで作った訴状・答弁書を、裁判所に出す前に確認したいこと

ChatGPTなどで作った訴状や答弁書は、体裁が整っていても事件に合っているとは限りません。請求、認否、証拠、期限、提出方法を弁護士がどう見るかを解説します。

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AIに事情を伝えて「訴状を書いて」「答弁書を作って」と頼むと、驚くほど早く書面が出てきます。事件番号、当事者、請求の趣旨、請求の原因。見慣れない法律用語も入り、裁判所に出す書面らしい形になっています。

そこで困るのが、どこまで信用してよいかです。文章が滑らかなだけならまだ警戒できます。裁判所の書式に似ていると、もう提出してよいように見えてしまう。しかし、裁判書面では体裁が整っていることと、事件に合っていることは別です。

訴状では「勝ちたい内容」と「請求」がずれる

たとえば、代金を返してほしいという相談でも、返還を求める根拠は一つとは限りません。契約を解除して原状回復を求めるのか、契約自体が無効だと主張するのか、損害賠償を求めるのか。どれを選ぶかで、書くべき事実も必要な証拠も変わります。

AIは、相談者が期待する結論に沿って法律構成を一つ選び、そのまま文章を完成させることがあります。問題は、その構成を選べるだけの事実が入力されているかです。「解除できます」と書かれていても、解除の前提となる催告が必要なのか、すでにしたのか、そもそも相手の義務が履行不能なのかが抜けていることがあります。

請求の趣旨だけ直しても足りません。その結論まで届く事実が、請求の原因に書かれているかを見る必要があります。

答弁書の「否認」は、数が多ければよいわけではない

答弁書をAIに作らせると、原告の主張を広く否認し、「争う」と書く案が出ることがあります。けれども、契約を結んだ日、入金を受けた事実、メールを送った事実まで争ってよいとは限りません。客観的な資料がある部分まで否認すると、その後の主張全体の信用に響きます。

逆に、「知らない」「認める」「否認する」の使い分けが曖昧なまま、もっともらしい反論だけが長く書かれることもあります。答弁書では、相手の事実主張にどう答えるかと、自分の側からどの事実を主張するかを分けて考えます。

提出期限も軽く見られません。裁判所の案内でも、被告が答弁書などで請求を争う意思を明らかにしないまま欠席すると、不利な判決が出る可能性が示されています。書面を完璧にしようとして期限を過ぎるより、まず何を出すべきかを早く判断した方がよい場合があります。

証拠の名前だけが、書面の中で増えていく

AIは入力された事情を読みやすい時系列に整えます。その過程で、「相手も了承していた」「繰り返し請求した」「重大な損害が生じた」といった事実が、元の資料より強い言葉に変わることがあります。

書面上の一文ごとに、契約書、振込記録、メール、LINE、写真など、どの資料で裏付けるのかを対応させると、このずれが見えます。証拠がないから書けないとは限りません。ただ、争われたときに何で説明するのかを考えず、AIが補った事実をそのまま置くのは危険です。

AIに草案を作らせるなら、完成した文章だけを求めるより、次のように資料との対応も出させた方が使いやすくなります。

書面案の各事実について、裏付けになる資料、資料からは確認できない部分、相手方が争いそうな点を分けて示してください。推測で補った事実には、その旨を明記してください。

それでも、AIは手元の資料を裁判官と同じように評価しているわけではありません。出力された表は確認の出発点です。

2026年5月から、提出方法も変わった

2026年5月21日から、民事訴訟では誰でも裁判所のシステムを使って訴えや準備書面をオンライン提出できるようになりました。弁護士などの訴訟代理人にはオンライン利用が義務化されています。一方、民事執行、倒産、労働審判、家事事件などは同日の全面デジタル化の対象外です。

また、裁判所は、2026年5月21日より前に提起された事件と、それ以降の事件では使用する書式が異なる場合があると案内しています。AIが古い書式を参照しても、それらしい見た目のまま出力されるでしょう。提出方法が便利になった分、書面の中身と適用される手続を区別して確認する必要があります。

現行の書式は、裁判所の民事訴訟で使う書式で確認できます。オンライン提出については、裁判所の民事裁判手続のデジタル化に案内があります。

草案は捨てなくてよい

AIで作った訴状や答弁書には、相談に使える情報がかなり含まれています。何が起きたと理解しているか、どんな結論を求めているか、どこに不安があるかが、すでに文章になっているからです。最初から作り直す必要はありません。

ただし、裁判所に提出する直前の確認は、誤字の修正では終わりません。請求の選び方、相手の主張に対する認否、証拠との対応、期限、管轄、提出方法まで見て、初めて「この事件の書面」になります。

AI添削相談では、AIが作った訴状・答弁書の草案と、訴状、契約書、メールなどの元資料を一緒に確認します。提出期限がある場合は、相談フォームに期日も記載してください。

晝間法律事務所所属 / 東京弁護士会

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AIで作った相談メモ、内容証明案、相手方への返信案があれば、そのまま相談資料として確認します。